第16回 国立大学情報処理センター協議会
中部地区情報処理センター協議会報告
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山梨大学総合情報処理センター長 豊木 博泰
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中部地区(信州,山梨,山梨医科,静岡,浜松医科,愛知教育,豊橋技科,岐阜,三重)では,幹事が項目案を提示し,それに基づき各大学からの問題等を寄せて頂いた.
以下は,それを要約・併記したものである.
1.センターの役割,大学内位置づけ
- ・大型計算は共同利用機関のサービスに任せ,センター内での位置づけが小さくなっている一方
で,ネットワーク管理の比重が著しく増大しているのというのが共通した傾向である.
- ・センターの専従職員だけではまかないきれないほど業務の対象は広がっており、委員会等を作
って、全学的な協力態勢,運用組織を作っているところが多い.
- ・センターが運用するメール,WWWなどサーバは安全性に対する信頼感があり,工学部など自前で
管理できる部局以外はセンターを利用する形態が強くなってきている.
- ・建物増築を機に,共に情報提供機関である図書館と情報処理センターとの業務提携,融合を模
索している大学,その方向での検討を始めた大学があることは新しい傾向である.その他の学内共同利用機関との連携をはかっているとの報告もあった.
2.ネットワーク網の整備充実について
(a) ネットワーク管理について
- ・センター教職員だけでは保守管理が難しいので, 建物・学科に支線管理者を配置し、これを統
括するネットワーク主任を含めたネットワーク運用部会を、センター部会の一つとして置くなど全学的な協力態勢に意を払っている.
- ・管理ポリシの確立を急いでいるところであるが、学科、研究室で運用しているマシーンにまで
管理方針が行き渡らない事が問題である.
(b) 学内網の整備について
- ・現行のキャンパス幹線網は4,5年前から稼働しているATM網が主流であるが,老朽化にくわえ
文部省からの保守料が減少していることから保守に対する不安の声があった.
- ・ギガビットイーサのような高速網のスイッチの低価格化が進むなかで,ATM制御機器は高価なま
まであることに苦慮しているとの声がある.
- ・次期幹線網整備の準備の段階にある大学が多い.
- ・ATMネットワークを有効利用したアプリケーションがないため, 導入を目指して要求中の大学が
ある.
- ・分散キャンパスになっている大学では,キャンパス間ネットワークのあり方は引続き大きな問
題である.
(c) 上流網への要望,期待等
- ・遠隔地間のマルチメディアアプリケーションの利用,高速計算の共同利用機関への依存などに
より,大学間のネットワーク帯域拡大のニーズは高い.
- ・学内網の高速化にくらべて広域網の帯域の拡大がついていけていない.その点で,回線サービ
ス業者へのアカデミックサービスの充実を働きかけることはできないかとの意見があった.
- ・SINET機器の故障が突然起こることがあり、学内への連絡が遅れることが多々ある。機器の管理
を慎重に行っていたきだたいとの要望があった.
- ・地域に直結した回線の必要性が強くなってきているとの意見があった.
3.センターの業務の実態と人員構成上の問題について
- ・業務の増大に対してセンターの教官,技術職員の数があまりにも貧弱であるとの声は強い.コ
ンピュータ・ネットワーク関係の技術職員が学生の1% はいる米国などとは雲泥の差である.
4.センター施設の問題(建物,分散キャンパスに伴う問題等)
- ・医学部, 病院は,他の学術・教育利用とはことなる安全性管理が必要であり,移転や統合を控
えてのネットワークの設計が当面の関心事になっている大学が複数あった.
- ・設備運用面での問題として,(i) 雷に伴う停電対策が不十分,(ii)教室用のスペースが不足,
(iii) 分散キャンパス間の通信や管理の問題などがあげられた.
5.ネットワークセキュリティ確保上の問題点について
- ・ネットワーク利用のモラル教育のために,規約の整備,パンフレットの配布, WWW監視システム
の導入など様々などの努力が続けられている.
- ・外部からのネットワークアタックに関しては, キャンパス規模が大きいこと,共同研究などで
の直接外部とやりとりなどの便宜のため,統一的なセキュリティポリシの確立が難しいという
指摘が多かった.
6.その他
- (i)次期の計算機の導入に当たっては管理運営の容易さが重視している.
- (ii)次期システム導入を期に,課金体系の見直し,特に,ネットワーク課金のありかたを検討している,などの点が最近の関心事としてあげられた.
全体として,中部地区固有の問題は見当たらず,どの問題も全国的な広がりをもつ問題であったことを付記する.
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